内閣官房特命調査員 新垣宗佑【校正中】

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【企画屋が書いた日本再生物語】

メビウス 序章

あらすじ

新垣宗佑は46歳になる国家公務員である。
政府の官邸勤務で調査を担当するエリート官僚だ。
調査テーマは未来の経済システムだ。
近年は様々な問題が勃発している。
経済も世界的に低迷を続け、その出口が見つからない。
資本主義経済の限界ではないのかと囁かれている。
その事に呼応するように共産主義、社会主義の台頭がみられるのだ。
民主主義国家がこのまま衰退を続ければ共産主義が不戦勝で世界を牛耳るだろう。
世界の秩序を守る為にも、もう猶予はない。
宗佑は答えの見つからないまま、公園で強い陽射しを避けるように大きな樹の木陰に座ってぼんやりしていた。
毎日の疲れもあってついウトウトとしてきた


ハッと気がつくと一人の老人が目の前に立っていた
宗佑は怪訝な顔をして老人を見上げた
そろそろ80歳に届く頃の品の良い老人がニコニコ笑いながら宗佑の顔を覗き込んだ。
「そうとう疲れているようだね。頭の中が疲れているときは、誰かと話しでもすると良いのだよ。ワシと話してみないかい」
宗佑は老人の顔を見上げながら思った
「そうだよな。頭の中がパンパンだよ。誰かと話をするのも良いかも・・・。この老人なら話してもどうなるというものでもないだろうし・・」
宗佑はそんな気持ちになったのも変だなと思いながらも、老人の申し出に応えた。
「じゃあ歩きながら話しましょうか」と言いながら老人は先に歩き始めた。
宗佑も慌てて後に続いて歩き始めた。
もう太陽も陰り始めて、散歩するのに陽射しが心地良かった。
宗佑は簡単に自分のことを紹介しながら、新しい経済システムを探していることを話した。
老人はどうして新しい経済システムが必要なのかと聞いてきた。
宗佑は聞いたところで解らないだろうにと思いながらも話し始めた。
資本主義経済は最初から完成したシステムではないこと。
基本的には仮想貨幣経済であること
世界の半分が貧困国になっていること
先進国でも富の集中が起こり、国民の中に格差が出来ていること
そのことを理由にテロが起きていること
経済追求が自然を破壊し、地球自体が危ないとも言われていること
資本主義に変わるものとして共産主義しかないこと
理念のない自由主義と大きな矛盾を抱えた社会主義のしかないこと
到底この老人には解らないと思いながらも、自分の愚痴を溢すように話した。
老人は嬉しそうに微笑みながら、うんうんとうなづいて聞いている
老人がポツリと聞いた
「川の水はどうして流れるのかな」
「えっ、水は高い所から低い所、つまり上流から下流に流れるんですよ」
「おや、本当かい」
「子供でも知っていることだよ。ほら、あの川だって・・・」
そう言って、宗佑は言葉を止めた。
いつもなら雪解け水で水量が増えているはずなのに、川の水が流れていない。
といっても澱んでいるわけでもない。
それどころか、奇妙に澄んでいる。
「なんだ!この心地良さは・・・」
宗佑は驚いて老人を振り返った。
老人はニコニコと微笑みながら優しく宗佑を見た。
そして足元から石を拾い上げ宗佑の前に差し出した。
「さあ、この石は大きいかね」
宗佑は言われている意味がわからないまま、老人の手に握られている石を見て言った。
「その石は小さいですよ」
老人はニヤッとした顔で何故と聞いてきた。
宗佑はこの老人の言っている意味がよく解らなかった。
でも、老人が簡単に拾ったどう見ても小さな石だ。
すると老人はもう一方の手のヒラを開いて見せた。
そこにはもっと小さな石が握られていた。
「ああ、その石と比べれば大きいですね」と笑顔で応えた。
すると老人は足元にある大きな石を指差して言った。
「私の持っている石は大きいですか」
宗佑は少しムッとした顔をして言った。
「その石と比べれば小さいですよ」と不機嫌な声で言った。
老人はますますニコニコして言った。
「この石は大きいのですか?小さいのですか?」
「だから、比べるものによって大きくもあり、小さくもあるんですよ」
老人はますます楽しそうに言った。
「なぜ比べるのですか?私はこの石のことについて聞いたのですよ」
宗佑は老人の言っている意味がわからず、ちょっと不機嫌んになった。
そんな宗佑に構わず、老人は話し始めた。
「この世界では・・」
「えっ、ちょっと待ってよ。この世界はってどういうこと?」
そう言いながら宗佑は周りを見渡した。
何も変わりはないように思うのだが何かが違うということが感じられた。
「おじいさん、これってどういうこと?」
そうして、老人はここが新しい価値観で成り立っている世界だということ。
その新しい価値観が新しい世界を作り出したということ。
そういえば、さっきから数人の人たちとすれ違った。
みんな笑顔でいることを不思議に感じていた。

終末を迎えた欲星

老人は宗佑が聞くまでもなく新しい理念について話してくれた。
話の大体は次のようなことだった。
ここも、いやこの世界も私たちの社会と同じようなものだった。
拝金主義がみんなの生き方になっていた。
しかし、拝金主義は世界で数人の超金持ちを生み出し、世界をコントロールしていた。
お金が神となった世界だった。
社会は好景気と不況が繰り返され、その度に国民の富は吸い取られていった。
彼らは健康までも集金の方法として利用した。
国民は治らない病気のためにお金を払い続けた。
新しい病気が生まれ、新しい薬が開発され続けた
国民は決して豊かになることはなかった。
それでも自分たちは豊かだと思い込んでいた。
それは彼らより貧しい人たちが必ず存在したからだ。
彼らに比べれば俺たちは幸せだよと・・・。
世界は大きく二分されていた。
資本主義と共産主義だ。
選ばれた一部の人間が互いの国を牛耳っていた。
彼らは互いに金を刷りまくり、それをばら撒いて景気を装っていた。
国民は自分が豊かになるために常に競争をしていた。
もう、友情や信頼は金で買うものになっていた
数百円を支払って、ネットでダウンロードすればどんな幸せでも簡単に買えた。
いつでも素敵な彼女や彼氏と会えた。
いつでも冒険に行けたし、何度でも生き返って英雄になることができた。
国民は作られた幸福に満足していた。
やがて自分たちの星が悲鳴を上げ始めた。
天候異変が始まり、地震や台風や洪水が始まり、作物も取れなくなった。
社会を牛耳る支配者はこの不幸な出来事すら金儲けの機会とした。

メビウスとの出会い

星の軌道すらおかしくなり始めた
いよいよ最後の時、私たちが星を破壊する時が近ずいたと思った
そんな時金環日食がはじまった。
太陽に月が覆いかぶさり暗闇が始まった。
この暗闇は終わることがなかった。
何日も暗闇は続いた。
それでも少しづつ月がずれ始め8分ほど太陽が顔を出した。
しかし、また月が太陽を覆い隠し始め、再び暗闇が始まった。
このような現象が半年程続いた。
太陽が8分ほど見えた時、人々の間には諦めの気持ちがあった。
恨めしく空を見上げた時、彼らはメビウスの輪を見た。
二分ほど重なり合った太陽と月にリボンが掛かっていた。
それもねじれたリボン、メビウスの輪だった。
次第にメビウス信仰が起こり、深く考えるようになった。
その答えを見つけたのは考古学者の明日香源次郎という老学者だった。
メビウスの輪とは一本のテープを半回転ねじって繋いだ8の字型のリボン。
ペンで表から線を引いていくといつの間にか裏を通って表に出て線が繋がる。
表と裏というものが存在しないのだ。
始まりも終わりも存在しない。
だから、存在している位置も表だとか裏だからという区別もなく、始まりにいるとか終わりにいるとかいう違いもない。
あるのはその位置に存在しているということだけだ。
比較することで自分を決めるということではないのだ。
人々は次第に比較ではなく自分自身が重要なのだと思い始めた。
そうしてメビウス思想が始まり、メビウス経済学が始まった。
メビウス思想は個人の生き方から社会全体を変えたという。

メビウス思想

今までの社会は競争社会であり、全てが比較社会だった。
大きさは大きいものと小さいものとの比較では決まった。
温度も熱いものと冷たいものとの比較で決まった。
お金持ちもお金のある人とお金のない人との比較で決まった。
頭の良さも勉強のできる人と比べて決まった
車の速さも速い車との比較で決まった
美人かブスかもそれぞれの比較で決められた
しかし、メビウス思想が出来てからは大きく様変わりした。
それぞれが比較なしに判断することになった。
大きいか小さいかも比較ではなく、その時点でそのものの価値が判断された。
美人かどうかも、比較することがなく個人だけを見つめて判断された。
お金もお金持ちと比較するのではなく、今自分が満足できるかが判断基準だった。
もう、お金持ちとか貧乏だとかいう判断は不要になった。
個人の価値が重要なのだと。
個性こそが重要なのだと気付いた。
比較は関係ないと気が付いた
その事が全てを変えたと言う
老人が小石を見せて、これは大きいか?と聞いた意味がわかった。
比較で価値を決めるのではなく、その時その小石が最適かどうかが問題だったのだ。
だから大きくもあり小さくもありではなく、大きくもなく小さくもなく最適なのだった。
宗佑にもメビウス思想が解りかけてきた

メビウス経済学

川には上流と下流がある。
川の水は上流から下流に向って流れる。
ここにパワーがある。
川の流れの中に水車を入れるとクルクルと廻る。
この力を利用して様々なことができる。
格差から何かを得ることができる。
高い所にある水を低い所に移動させることでパワーを得た。
高い知識を持った者が低い知識しかない人にお金を取って教える。
この高い所から低い所に移動することからエネルギーを得るということは神からの贈り物だと思っていた。
しかし、今思うと格差は神にとっても不都合だったから平準化させるために移動していたのではないかと考えはじめた。
平準化こそ神の理想としていたことではないのか?
お金持ちが貧しい人に施すのが善で、貧しい人からお金を取るのは悪ということになる。

同じ価値のものを交換する経済では紙幣を必要としなかった。

移動のない所から利得を得るということはどういうことなのだろうか?
ヒントは喜び・満足感・達成観など精神的なものである。
これが正解だとすれば無限のエネルギーということになる。
今、多くの学者が研究しています。
私たちのメビウス社会も始まったばかりなのです。

メビウス国家の出会い

老人は言った。
「さあ、メビウス思想が創った私たちの国を見せてあげましょう」
宗佑は疑問に思ったことなどはもう気にしていなかった。
いまは現実だけを見つめてみようと思っていた。
この小さな国が世界の主要国となって世界をリードしているという。
それは、世界の安全を守り、世界の発展に貢献し、世界平和を実現し、世界を豊かにしたからである。
メビウス思想は個の価値を認め、好循環で組み上げられた社会システムになっている。
好循環は与えなければ与えられないという基本があるので、誰も裏切ることはなく信頼のシステムが構築されている。
好循環で組み上げられたシステムは発展するしかないという。
悪いシステムは外部からパワーを注入し続けなければ存続できない。
以前のシステムがそうであり、金食い虫と言われ資金が流れ込み、その流れから資金が漏れていたという。
良いシステムとは自動的に拡大発展し、資金を生み出していくものだという。
宗佑はこの秘密を学ばなければと緊張の面持ちだった。

カルパの郷

最初に案内されたのは国の基盤を成すカルパの郷。
さほど大きくはなく、中規模の円形の街である。
城壁で囲まれたように建物があり、建物を囲むように駐車場があり、さらにその外側には住宅を中心とした建物がある。
中心部に大きな広場があり、広場の中心に大きな建物と憩いの森がある。
この様な街が全国にあり、全部ITを駆使しネットワークで結ばれている。
何処かの街で始まった事は同時に全国で参加する事ができる。
私たちの国に例えれば「どこでも東京」なのだ。
都市機能の便利さを全国に配置した様なものだ。
このお陰で全国の何処でも都市機能のサービスが受けられる。
好循環システムの重要な役割を担っている。
ローコスト・ハイライフを実現している

全国どこでも東京

医療、教育、就職などローカルの悩みは多い。
行政が単独でサービスをしようものなら立ち所に運営困難になるだろう。
カルパの郷は過疎地の中心に設けられている。
そこに医療、介護、教育、防災、宿泊、ショップ、イベントなどなどが集められる。
カルパの郷はローカルの自治体が共同で運営してるから、全ての施設を我が町の施設として住民に提供できる。
費用のかかるところを共同で行い、自治体の負担を軽減し、いままでできなかったサービスを提供できるようになった。
従って、ローカル自治体は独自の特徴ある運営をする事がとなり、魅力のある地方が出来、魅力ある国が構築される。

宿泊だけのホテル

カルパの郷のホテルは宿泊だけに特化している。
それぞれのホテルが特色のある宿泊施設とサービスに特化している。
開業費用や運営費も低く、総合力を必要としないので異業種からの参入も容易にできる。
更には、施設全体を投資物件とし、建設資金を投資家から求める。
小口投資家などの眠っている資金を活用し、国内の景気を上げる。
ホテルを宿泊専業にした理由は飲食店を保護し、カルパの郷の魅力を上げるためである。
飲食店街が魅力的になる事によって、ホテルの宿泊客が増えるウインウインの関係が成立している。
宿泊だけのホテルは外国人旅行者に喜ばれている。
全国のカルパの郷を渡り歩いているようだ。
宿泊の目的の多くは多様な飲食店にある。
特に病院と生産者とレストランが共同開発したおいしい健康料理は人気だ。
食事制限をされている人でも、安心して食事を楽しめるのだ。

ローカルに総合病院を実現

街の周囲にある住宅は高齢者専用小型住宅で在宅介護、在宅医療がやり易くなっている。
ローカルの患者がこの街に集中し、効率の良い理想的な治療を可能にしている。
病院もIT化されており、中央センターからの集中管理や遠隔手術も行なっており、全国均一医療を実現している。

自立した専門病院

患者数が多く、サポート体制も良いので専門分野の開業医も多い。
周囲にあらゆる機器や施設、サポートスタッフがいるので、より専門化した医療施設となっている。
特に在宅訪問の介護を中心とする事ができるので、開業資金を抑える事ができている。
介護の効率が良く、スタッフへの負担も少ない。

庭付き戸建て住宅もある高齢者住宅

在宅療養、在宅医療、在宅介護、最後を家族と共に家で過ごすなど本人や家族にとっても、医療関係者も望んでいる。
高齢者は自宅を処分して、ここに移り住む。
その際の不動産処理も管理センターが行ってくれる。

医療関係高齢者専門住宅や顧客数、関連病院を活用した介護施設が揃っている。

介護スタッフの人出不足は過去の話に

介護スタッフ不足に悩まされているのだが、ここでは全く関係ない様だ。
その理由があった。
在宅介護で大変なのは家族である。
家族の誰かが犠牲にならなければならない。
進んで親の世話をしたい人もいるが、経済的理由で自分で介護しなければならない場合もある。
子供が仕事を辞めて親の介護に入った場合、親が存命中は親の年金等で暮らしが成り立つ。しかし、介護が終了した場合、年金支給も終了し、子供は高齢となっており、無職となる。
この流れが分かっているために在宅介護に踏み切れなかったのである。
ところがカルパの郷では子供の在宅介護者が多い。
その理由は、親が介護施設に入ったり、在宅介護になったりした時は、家族の介護予定者は介護施設会社に就職する。
介護施設会社は患者とスタッフを同時に受け入れることになる。
こうして、国の補助を受けながら、介護知識や技術を身につけた家族は、自分の親の担当となりながら仕事をすることになっている。
親が亡くなっても、自分は介護者として生活を維持できるようになっている。

住民が増えるローカルの自治体

カルパの郷の高機能地域には多くの人が転入する。
カルパの郷は周辺の自治体の共同運営になっているので、市民が移住しても市民であることには変わりはない。
カルパの施設を我が街の施設として使えるので、住民の数は増えている。
特徴のある自治体にはより多くの人が籍を置く事になっている。

ローカル自治体の運営方法が変わる

自治体は特徴のある自治体運営が求められた。
住民の意識が変わったので、役人の意識も変わり、新しい街づくりが始まったという。
医療関係、高齢者対策、防災等の対応が軽減された事で、その分を街づくりが使えるようになった。
自治体運営に知恵が求められるようになった。

病院、レストラン、施設と結びついた農家

生産者の後継者不足の悩みが解決した。
カルパの郷には生産者直販店が人気となっている。
形の良いものは直販店で販売し、それ以外のものは病院や介護センターに販売される。
ロスのない生産と販売が出来ている。
レストランのシェフと共同で高品位の野菜の開発をやっている。
生産者だけでは出来なかった野菜作りができるようになり、高価格販売が可能となった。
大規模農家が言われている中で職人気質の日本の安心安全、高品質の野菜作りがされている。
農家が自分たちの作った野菜をオシャレな店舗で販売する。
そして、住まいは都市と田舎の融合した環境で暮らせるようになったので若者が農業に帰ってきたのだ。
開発した野菜は共同開発したレストランのチェーン店で使われるのと同時に、カルパの郷ネットワークで全国に販売される。
店舗は管理センターで管理され、販売店指導が行われ、経営の不安をなくする。
建物も投資資金を利用する事も出来、リースで使うこともでき、誰でも参加できるようになっている。

多くの企業が進出し、地域の雇用の確保を実現

最高の仕事環境を有するカルパの郷には多くの企業が進出している。
都会と同じ環境、いやそれ以上の環境を持っているのに経費は格安であり、人材確保にも優位なのだ。
カルパの郷は世界を対象としている国際展示施設になっており、ビジネスにとって大きなチャンスの場となっている
カルパの里ネットワークによって東京イコール日本全国なのだ。

大学等の研究施設がやってくる

大学や企業の研究施設が集まり、知の集約が行われている。
特に高齢者関係、住宅関係、先端医療関係にとって最適な場所となっている。

多目的センターホール

広場は店舗や事務所に囲まれた大きな広場で歩行者専用だ。
高齢者も障害者も子供も安心して過ごせる場所になっている。
ホールにはスポーツ施設があり、プロ仕様になっている。
プールも公式大会に適した大きさで、日中は一般が使用し、夜間は学生やプロが使用する24時間体制で運営されている。
スポーツ大会の実施はもちろん、映画やコンサートや演劇などが行われる。

夜間用飲食店が深夜まで営業

忙しい人達にとっては深夜までの営業が喜ばれる。
騒音などの対策として、夜間飲食店はセンターホール内に設けられている。

施設内の安全確保

カルパの郷の敷地は私有地となっており、私設警備隊が住民に害を与える恐れのある訪問者を早めに敷地外に退去させる事によって、敷地内の安全を確保する。

管理運営センター

管理センターは全てのことを行う。
高齢者住宅の住み替えの相談と代行、店舗の経営指導、投資物件管理、広報活動、安全管理、防災業務、イベント企画運営、不動産管理等々
敷地内の土地は全ての賃貸で、賃貸収入を管理センターの運営費となっている。
敷地は自治体から借り受けており、初期投資は極力抑えられている。

あとがき

人類は発展する様になっている。
この地球上に人類が誕生以来、人類は素晴らしい発展を遂げてきた。
数億いる生物の中で発展したのは人類だけである。
発展したのは理由は簡単だ。
人類は夢を見て、夢を追いかけるからだ。
これは神が人類にだけ与えた能力だ。
この発展に陰りが見えてきた。
奪うことによって豊かになるという理論が成り立たなくなったからだ。
神は人類にだけ「地に満ちよ」と祝福した。
だから、人類は発展する様になっていた。
その発展の邪魔をしたのは人類自身だった。
発展の川の流れを止めている災いを取り除くことで人類は更に発展する。
奪い合いではなくウインウインの共栄共存の世界である

この災いは何か?
取り除く方法は?
発展のロジックは?

この物語は地球とよく似た惑星の物語である。
この惑星は地球より少し前に誕生し、同じ様な発展をしてきた。
地球と同じ様な貨幣中心の世の中になっていた。
ところがある出来事を切っ掛けに全てが変わった。
ある年の出来事である。
この惑星にも太陽と月があった。
地球と同じ様に皆既日食という現象もあった。
地球と違ったのは皆既日食のままだった事である。
昼間なのに真っ暗で夜と同じだった。
それでも夜が来るのだが、昼間と何も変わらない夜だった。
この昼なのに夜であり、夜なのに昼と同じ状態なのだ。
こんな惑星に新しい考え方が生まれた。
その考え方がメビウスなのである。
新しい時代の新しい価値観による新しい時代である。

メビウスについて少し説明をしておこう。
メビウスの輪をご存知だろうか?
一本のテープを180度捻って貼り合わせたテープの輪である。
面を辿っていくといつの間にか裏面になり、さらにスタート地点まで戻る。
ボールペンなどでなぞりながら線を描いていくと裏表両面に線が書かさる。
メビウスの輪は無限のマークの形をしている。
これがメビウスの輪である。

昼なのに夜の様で、夜なのに昼と同じな世界に暮らすと考え方が変わって来る。
比較することに意味がないと知る。
自分は背が高いということは、背の低い人と比べるから分かる事である。
自分が太っているということも、痩せている友人がいるから分かることだ。
ところが、さらに太っている友人がいると、自分が痩せていると感じる。
この様に比較対象によって肥っているか痩せているかが変わる。
メビウスの価値判断は比較をしないので、自分自身で肥っているか痩せているかを判断する。
メビウスでは比較しないで判断すること、個別に判断することにある。
私たちが当たり前とする高いと低い、大きいと小さい、暑いと寒い、重いと軽い、熱いと冷たい、美しいと醜い、高いと安い、早いと遅い等々全ての判断が比較によって行われている。
比較することによって優れているものと劣っているものとに分けられる。
しかし、本来はそれぞれに価値があるものである。
この当たり前のことに気付いたことによって大きな変化を生じる。

この物語はメビウスという価値観を持った惑星の物語である。
そして、私たちの可能性を見せてくれる物語である。

この物語は「空想企画小説」という形で書かれている。
様々な企画方法や提案方法が存在する。
現状の課題解決なら市場リサーチしビッグデータを駆使して解を求める方法がある。
しかし、未来型の解を求めるならリサーチもビッグデータも役に立たない。
未来は過去と現実の延長線上にはないからである。
現実に囚われていると、夢見ることができなく、現状の課題を解決できない。
空想企画が新しい未来を見せてくれる。
空想企画は理想を定め、その可能性を試行錯誤していく企画方法である。
理想と可能性を小説の形で表現した。
目標が定まれば、実現の方法を探し出すだけである。
今は無理でもいつかは実現できるかも知れないという楽しみを残したい。

人類は地球上に誕生して以来、大きく発展してきた。
この地球には多くの生物等が存在しているが、大きく発展したのは人類だけだろう。
人類だけが持っている夢見る力が発展の理由である。
人類はより発展する様に創造された。
神が地に満ちよと祝福されたからである。
近年の人類の発展が止まった理由はシステムの目詰まりである。
川の様に大海への流れを遮るものがある。
そのゴミは人間の欲なのか・・・・
詰まっているゴミさえ取り除けは、川の水は揚々と流れる
人類はもっと発展し、平和で幸福になるはずである。
その可能性を追求しよう。

カルパの木の物語

この木の下ではどんな願いも叶うという。
旅の青年が疲れて、大きな木の木陰で昼寝をした。
青年は思った「ああ、大きなベッドがあったらなぁ」
すると、大きなベッドが現れた。
青年はベッドに横たわりながら思った「ああ、美女が一緒にいてくれたら」
すると、どこからか絶世の美女が現れた。
青年は驚いて思った「これは話が良すぎる。もしかして、美女がライオンに変身して私を食べてしまうのでは・・」
すると美女はライオンに変身して青年を食べてしまった。という考えさせられるお話です。